苦しいときほどあきらめない――薬師寺 大谷徹奘さん法話

2020年06月29日 | 誰でも

 <ここまでと 思ったら そこまで>

 今、新型コロナウイルスの感染拡大によって、私たちの生活環境は大きく変化してしまいました。普段は全国各地からの依頼を受けて法話行脚させていただいている私も、3月6日に滋賀県で勤めた法話以来、寺から出ることもなく、4月7日に寺の中で行った一度だけを最後に今日に至っています。

 薬師寺元管主の師匠・高田好胤(こういん)和上が法話される姿に憧れ、法話を軸としてきた私にとっては正直、当初は「このままできなかったらどうしよう」との感はありました。しかし、それでも40年間の修行のおかげでしょうか、心は不思議と落ち着いていました。

 そんな時、法話会に熱心に参加してくださる中松健治さんの話を思い出しました。1976年卒業の同志社大ラグビー部OB。第12回全国大学ラクビー選手権大会で準決勝に進出しましたが、右肩の古傷が悪化しました。コーチから出場辞退するかと聞かれた際、中松さんは「右肩がダメでも、左肩も、おでこもあります。決してあきらめません」と答えたと言います。

 この話を思い出した瞬間、「あきらめるのはまだ早い。今までのような法話ができなくても、新しい形の法話をする術(すべ)がきっとあるはずだ」と思えたのです。

 そこで思いついたのがメール配信。善は急げとタイトルを「メールde法話会」と決め、3月下旬から毎週金曜に、400文字で配信を始めました。するとこれが大反響。メールがきっかけとなって「わいず倶楽部」の紙面へとつながり、ご縁のなかった読者の皆様へも法話ができるようになったのです。

 また、届いた感想文の中に「動画」という言葉が多く記されていましたので、現在は動画法話の準備もしています。

 これまで法話を勤めてきた私には信条がありました。それは「法話=ライブ」。しかし、今回の環境変化によって現在は「どんな形でもできる」と信条を書き換えました。新しいことに挑戦できる今、ワクワクしています。

 冒頭の言葉は、若い頃、修行がつらくて逃げ出すことばかり考えていた自分を鼓舞するために書いたものです。自分のための言葉ではありますが、きっと読者の皆様のお役に立てると信じて紹介させていただきました。苦しい時ほど「あきらめるな」と自分に言い聞かせてください。

 合掌

(薬師寺執事長、大谷徹奘)

写真=「日々のことば」を手に話す大谷執事長

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