新しい自分へ「下手を自覚」――薬師寺 大谷徹奘さん法話

2020年09月21日 | 誰でも

 新型コロナウイルス感染症によって、私たちの生活環境は一変しました。今までの仕事のやり方が通用せず、ご苦労をなさっている方は大勢おられると思います。間違いなく私もその一人です。

 師匠・高田好胤(こういん)和上の法話に憧れ、人生をかけて育ててきた法話は、3密の典型であるが故に、ほとんど勤めることができません。当初は戸惑いもありました。しかし、3密がダメなら、そうならない方法を身につけようと、オンラインでの法話に挑戦することを決め、稽古を始めました。

 師匠はものすごく法話が上手な方でした。天性の能力はもとより、日々のたゆまない努力があってのことでした。内弟子として傍らにいたことで知り得ました。そして師匠のような法話を勤められるようになるには、ひたすら努力精進するしかないと、若い頃は毎晩のように一人稽古をしました。本当に懐かしい思い出です。

 稽古相手は、当時は壁でしたが、今はカメラです。けれど、すぐには上手になれません。録画を見直している時、自分で思わず「下手だ」と口にしてしまう時もあります。あまりの成長のなさに、「オンライン法話は怖い」と逃げたくなる時があったほどです。そんな自分に対して若い頃のように「下手を自覚しろ」、そして「少しずつ上手になればいい」と励ましながら稽古を重ねてきました。

 6月初旬からオンラインでの法話の依頼が寄せられるようになり、稽古に加え、実践でも磨きをかけられるようになりました。きっとコロナ禍が鎮静する頃には、聴聞者を前にした法話と、カメラを前にしたオンライン法話の両方を身につけ、バージョンアップした自分が育っていることでしょう。

 コロナ禍の発生から半年。鎮静までにはまだまだ時間がかかりそうです。もう、この新しい環境に慣れなくてはなりません。そして今までの自分に引きずられることのない、新しい自分を育てるためには、熱心にならなくてはいけません。その時に焦りや挫折が生じないよう、新しい生き方を求めるスローガンとして「下手を自覚して 少しずつ 上手になろう」を提唱したいと思います。

 合掌

(薬師寺執事長、大谷徹奘)

写真=オンライン法話の稽古に励む大谷執事長(薬師寺のお写経道場で)

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