違う価値観を受け止める――薬師寺・大谷徹奘さん法話

2021年05月24日 | 誰でも

 ご縁のある23歳の青年が、コロナ禍で10日間の連休になったゴールデンウィークを活用して、お寺体験と奉仕活動に来てくれました。(一般の方の受け入れはしていません。)

 薬師寺には宿泊施設がありませんので、寺の近くにある宿泊施設からの通い生活です。早朝4時に起床、5時から始まる朝勤行(ごんぎょう)に参列、朝食を終えて作務へと続きます。昼間は参拝者のお世話と境内清掃。夕方5時に僧侶と共に鐘をついて作務が終了。夕食を済ませて宿に戻ってからは「般若心経」のお写経を勤め、就寝するというカリキュラムでした。

 食事の時にはお茶碗(ちゃわん)の持ち方、机の拭き方、掃除の時には竹ぼうきの使い方などの指導が入りましたが、学ぼうとする気持ちが強く、嫌な顔一つせず実践していました。

 また、毛筆を使うことに不慣れなこともあり、お写経には2時間近くかかったそうで、あっという間に寝る時間。「いつもだったらスマホを離したことはありませんが、メールも見ませんでした」と、話してくれました。

 彼にとっては何もかもが初めての体験。苦痛になっていないかと心配したのですが、逆にとても新鮮だったようです。

 10日間はあっという間に過ぎ、「何が一番の収穫でしたか」と尋ねると、「お寺という普段とは全く違う環境に身を置き、自分の知らない価値観が存在することを知りました。社会人になって人間関係の難しさに直面していたので、環境が変われば違う価値観があるように、出会う人それぞれの価値観があると受け止めれば、少しはストレスが減ると思えました。また、お寺は自発的に尋ねないと何も教えてもらえないので、そのことを応用して、自分から相手に話しかけ、良い人間関係を築くようにします」と、晴れやかな顔で話をしてくれました。

 「ありがとうございました」を最後の言葉に、駅に向かう彼の後ろ姿を「お薬師さまのご加護がありますように」と祈りながら見送りました。

合掌

(薬師寺執事長 大谷徹奘)

写真=玄奘三蔵会大祭(5月5日)に参加した青年(左)と大谷執事長(奈良市で)

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