「学びの時~自粛を好機に~」――薬師寺・大谷徹奘さん法話

2020年05月11日 | 連載

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、私たちの日常生活は大きく変わってきました。先が見通せず、様々な不安が押し寄せる日々を、私たちはどのように生きていけばいいのでしょうか。わいず倶楽部では、わいず会員やシニア世代の皆さんに寄り添い、不安を和らげて元気になれる寄稿連載をスタートします。第1弾は、法話で全国を回り、わいず倶楽部の「法話の会」でもおなじみの奈良・薬師寺執事長、大谷徹奘さんによる紙面法話「学びの時~自粛を好機に~」です。

◇◇◇

「なりたい」

 心がこわれるほど
 苦しくて
 やさしい言葉を掛けてくれる人
 捜したけど
 どこにもいない
 ふと思う
 捜すような人間やめて
 やさしい言葉を掛けられる
 そんな人間になりたい

(八街少年院刊『生活詩集 若い木の詩』より)

 人生には思いもよらぬことが突然訪れます。病気・怪我(けが)・事故・失業・介護・死別など。今、世界が直面している新型コロナウイルス感染症問題もその一つ。外出自粛により私たちの生活環境は一変しました。しかし、その変化に心がついていけません。その理由は心が今までの生き方に引きずられているからです。

 この詩の作者は19歳の少年。少年院という一変した生活環境の中で、彼はそれまでの自分を深く掘り下げ省みたことにより、見事に人生を大転換させたのです。禅僧であり、著名な教育者でもある無着成恭師は、この詩を評して「こういうのを仏教ではさとりという」とまで言われました。

 私がこの詩に出会ったのは24年前、修行生活を重ねるも、心の奥底に何か割り切れないものを抱え苦しんでいる時でした。詩を読んで大泣きしました。読んでは泣き、読んでは泣きを繰り返しました。不意に「お前はどんな自分になりたいの」という言葉が口をついて出てきました。この言葉が常に難局を打開する指針となり、現在の私があります。

 生活環境の変化は苦しみを伴います。でも間違いなく人生の好機に出来ると、私は信じています。

 合掌

写真=(左から)わいず法話の会で「幸せの条件」について語る大谷さん(2019年5月、SENRITOよみうりホールで)、<日々のことば>日々のことばは、迷いが生じた時に、考えるヒントになればと願って書いています。今回は心の主導性をテーマにした新作です。

おおたに・てつじょう
 1963年、東京・江東生まれ。高校在学中に、高田好胤(こういん)・薬師寺住職に師事、同寺僧侶になる。99年春から「心を耕そう」をスローガンに全国各地での法話行脚を始める。2019年8月から同寺執事長。奈良少年院・大阪矯正管区篤志面接委員も務める。

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