強い血管で認知症予防――脳を鍛える歩き方②

2020年06月08日 | 連載

 アルツハイマー型認知症は、脳の中でも「海馬」から萎縮(いしゅく)していくことをご存じでしょうか。海馬の機能が低下すると、少し前のことを忘れてしまったり、時間や場所の認識が低くなったりしてしまいます。アルツハイマー型認知症になると、「何回も同じ話をする」「道にすぐ迷ってしまう」のはそのためです。でも、不安になることはありません。海馬の研究は進んでおり、どのような運動をすれば海馬が鍛えられるのか根拠を持って説明できます。

 カギになるのは、歩くという有酸素運動による血流改善です。脳に十分な酸素が送り込まれると神経細胞が再生、増加するという現象が起こります。記憶をつかさどる海馬は年齢とともに萎縮しますが、運動をしっかりすることで「脳由来の神経栄養因子」(BDNF)が増えて、新たな神経細胞の発生を促してくれます。さらに歩いた後、新しい血管をつくる糖たんぱくの「血管内皮増殖因子」(VEGF)の量が脳内、特に海馬でも増えることがわかっています。つまり、歩くと脳の血管も強くなるのです。

 それでは、海馬を鍛える歩き方について説明します。まずは運動強度。前回の記事(5月18日付 脳を鍛える歩き方①)でその設定方法を紹介しましたが、70%の運動強度で歩くことができれば、海馬にしっかりと新鮮な血液を流し込むことができます。「毎回の脈拍測定が面倒だ」という方は、「ややきつい」と思えるウォーキングを心がけてください。「ややきつい」という感覚は、おおよその目標心拍数と一致します。

 次に重要な要素は運動時間。目安としては30分間のウォーキングをお勧めします。30分がつらいという方は15分あたりから始めてみるのもいいと思います。まずは運動習慣を身につけることを目標にしましょう。

 また、転びそうで速歩きをする自信がない方や、膝が痛くて歩くこと自体が難しい方のために、脈拍を効率よく高める方法をお教えします。速歩きができない方はタオルを1本ずつ筒状に丸めて両手に持ち、グッと握って腕を振って歩きます。膝痛の方は、両手につえを持ち、地面を力強く押して歩けば、OKです。ぜひ無理なく安全にウォーキングを楽しんでください。

海馬の図の説明=海馬は、タツノオトシゴのような形で、左右の耳の奥の方にあり、日々の出来事など比較的「新しい記憶」や空間学習能力をつかさどる。酸素不足やストレスなどでダメージを受けやすい。

⇒運動強度キープ、効果大――脳を鍛える歩き方①

⇒じゃんけんで判断力アップー脳を鍛える歩き方③

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