幸せはやってくる――薬師寺・大谷徹奘さん法話

2020年12月28日 | 連載

 牛に乗った大黒様が運んでくださっているのは、きっと新型コロナウイルス感染症のワクチンと治療薬。牛の歩みは遅くとも、「信じて待つ」。今、まさにその実践の時です。

 令和3年(2021年)は「丑(うし)年」。それにちなんで牛に乗った大黒様の絵を床の間に掛け、一日も早くコロナ禍が収まることを願うと同時に、しばらくは続くであろう制約の日々を、どのような心構えで過ごせば良いのかを考えてみました。

 この絵は今からおよそ300年前、江戸や京の都、大和で活躍した浄土宗の僧・明誉古(みょうよ・こかん)(1653~1717年)が描いたものです。

 もちろん多くの仏教関係の絵も遺(のこ)してはいますが、比にならないほどたくさんの大黒様を描いています。その数があまりにも多いので「大黒様といえば古」、「古といえば大黒様」といわれ、当時一世を風靡(ふうび)したと伝えられています。

 実は、私は古の研究を大学2年の時から続けています。そして全国各地で200点を超える古の大黒様の作品を調査して見えてきたのは、古の描く大黒様の絵には、間違いなく生きることについてのメッセージが込められているということでした。

 作品を見る時々に、聞こえてくるメッセージは異なります。今回コロナ禍にあってこの牛に乗った大黒様の絵から、私が受けたメッセージは、牛からは「焦らず、されど休まず」。大黒様からは「笑顔を忘れず」。さらに牛に乗った大黒様からは「幸せは必ずやってくる」です。

 現在の新型コロナウイルス感染拡大により急激に変化した生活についていけず、一歩が踏み出せなくなったり、笑顔を失ってしまったりした人も多いかと思います。そんな方々にお願いがあります。この絵を見ながら、ご自身に対して「歩みを止めてないか。笑顔をなくしてないか。自分から明日を捨ててないか」と自問自答して、力強く生きていただきたいのです。

 そして、出来うることならば、この牛に乗った大黒様の絵を切り抜き、見えるところに貼ってください。家の中に大黒様を招き入れれば、必ずや強い味方になってくださると思います。

合掌

(薬師寺執事長 大谷徹奘)

写真=(左から)「牛乗り大黒」明誉古筆(元禄~享保年間)大谷徹奘執事長蔵、大黒様の絵を見て「力強く生きてほしい」と呼びかける大谷執事長

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