自分を信じて 苦難突破――薬師寺・大谷徹奘(てつじょう)さん法話

 新年明けましておめでとうございます。皆様にとって令和4年(2022年)が良き年になることを、心よりご祈念致します。

 今年もまたコロナ禍中でのお正月になってしまいました。やっと終息の兆しが見えかけたと思ったら、オミクロン株による感染拡大。心の中は何とも言えない閉塞(へいそく)感でいっぱいになり、先の見えぬ不安は苦しみそのものです。

 編集者から「今回この原稿が掲載されるのは1月17日。阪神淡路大震災が発生した日です」と聞かされ、あの時の苦しみ、悲しみが甦(よみがえ)ってきました。

 阪神淡路大震災、東日本大震災、西日本豪雨災害、そして今回の新型コロナ感染症など、私たちは人生で何度、このような耐え難い体験をしなくてはならないのでしょうか。

 そして大きな苦難に見舞われるたびに、「自分には何が出来るだろう」と自問自答を繰り返してきました。

 薬師寺では読売新聞社と共に「薬師寺まほろば塾」を開催しています。2019年2月に東日本大震災からの復興祈願と災没者追悼法要を厳修した際、歌手のさだまさしさんが歌を奉納してくださいました。その時にさださんが「最初、災害時に歌は無力だと感じました。しかし、自分には歌しかない。だから私は歌で人々を励まし続けます」と話されました。信念ともいえる言葉に、私は大きな感動と励ましを受けました。

 困難にぶつかった時、私たちは自分の無力さを感じます。でもその時に「何もできない」とうなだれてしまうのではなく、自分ができることを懸命に努めれば良いのです。

 コロナ禍で三密になるからと、多くの法話会が中止になりました。一時期は「もうダメだ」と思ってしまいました。法話で自分を育てて来た私から法話を取ったら何もなくなってしまうからです。でもよく考えれば出来なくなったのは法話会であって、法話ではありません。法話はオンラインでも、文書伝道でも行えるのです。

 「育てた自分を信じよう」。これをスローガンに、自分のできることに全精力を傾ける。これが困難を乗り切る大道だと私は信じています。

合掌

(薬師寺執事長 大谷徹奘)

写真=「育てた自分を信じよう」と書かれた色紙を手に、困難に立ち向かう心のあり方を説く大谷執事長(薬師寺提供)

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